BIM立体から平面図に

施主にとっての図面技術BIMとは?

 BIMとは、どのようなものかを前回紹介しました。今回は、プロ側の立場ではなく、お施主様にとってどんなメリットがあるのかを解説してみたいと思います。


  1. BIM(ビム)とは?
  2. 施主側からみたBIMのメリット

 このコラムを読んだ後には、きっと皆さんはこう思うはずです。

「BIMを使って計画したい!」

 今後、皆さんの建築計画において、もしBIMが活用できるのであれば、より計画を理解しながら、「思い違い」「勘違い」の少ない計画が出来ます。是非、今後のためにもBIMについて、少しでも知って頂ければなっと思います。


1. BIM(ビム)とは?

BIMとは、一般の方向けに説明すると、「パソコンやスマホ、タブレット等で、建物の形や情報が、バーチャルに確認ができるツール」だと考えて頂ければ大丈夫です。ゲームのようにぐるぐる廻りながら、建物の計画が、確認できるようになります。

(※ここでのバーチャルとは、仮想の建物や空間のことを言っております。)

これまでは、お施主様に対して、平面的な表現の図面とそれを補うように、立体的な模型を制作し、最後には、CG(コンピューターグラフィック)で完成時の雰囲気を伝えていました。今回のBIMの登場で、よりリアルで、詳細に表現が出来ることから、模型を作る必要性がなくなりました。BIMで打合せを始めて以来、お施主様からの模型制作の要望もすっかりなくなってしまったのも事実です。


2. 施主側からみたBIMのメリット

それでは、私が何故、一般の皆さんに、わざわざ専門的なBIMの話をするのかというと、実は、みなさんにとってもメリットが大きいからです。そのメリットをざっくりっと説明してみたいと思います。

みなさんにとって、BIMのメリットは、ほぼ全ての建物の情報(形や色・材質など)が、バーチャルな建物として、確認が出来ることです。「図面が読めなくても簡単に理解ができる」ということは、とても大きなメリットだと考えています。

ポイントは、

  1. ほぼ全てをバーチャルで確認が出来る。
  2. 比較検討が容易。
  3. 変更修正が早い。

もう少し、詳しく解説していきます。


(1) ほぼ全てをバーチャルで確認が出来る。

 実は、従来の紙に出力する図面は、どうしても図面上で表現出来ていない部分があります。全てを網羅するためには、大量の紙が必要となります。また、紙の図面は、1枚1枚、人間が行う手作業(入力)で、描いていますので、整合性がとれていなかったり、この図面には記載されているけど、こちら図面では、省略している・・・みたいなことがあります。

この事は、一般の方にとって、大きな「思い違い」「勘違い」を生む原因となります。

 これに対して、BIMは、建物の全ての情報が、ほぼそのままバーチャルに表現ができているデータです。BIMは、このページの最初の写真のように、バーチャルで作成した建物を輪切りにして図面にしています。もし、紙に出力されず、情報が漏れている部分があったとしても、BIM自体のデータをタブレットで、グルグル廻ったり、直接、計ったりして、確認するだけで良いのです。これは凄いことですね。

 このように、バーチャルで建物を造っている感じですから、紙の図面を見るより、BIMのバーチャルな建物を見た方が、手っ取り早いということが分かってきたかと思います。実際に、私の経験上、お施主様との打合せでもBIMで説明した方が、明らかに早いというのも実感としてあります。

ここで、言いたいのは、

このことが、計画自体の「思い違い」「勘違い」のリスクを減らし、後悔を減らすことに繋がると考えています。これは、とても大きなメリットだと言えます。


(2) 比較検討が容易。

 これまでは、建物の形状等は模型を制作し、色味については、ある特定の視点を決めて作成したCGで、説明しておりました。手間が多く、多くの制作時間も必要でした。

 しかし、BIMに関しては、質感や色なども含めて、バーチャルデータとして、入力しております。部分的な変更も、データを少し変更するだけで、検討することが出来ます。特に仕上を「どれにしようっかな?」と検討しているときには、BIMは、役に立つツールだと思います。

(3) 変更修正が早い。

 先程の「比較検討」のところでも触れているように、個別の作業となるCGや模型の修正が無い分だけ、BIMデータだけの修正のみで、変更ができますので、確認までの時間がこれまでと比べると明らかに早く、正確であることが理解できるかと思います。




まとめ

 まとめますと、BIMは、お客様にとって、計画中の建物を、多くの図面を読み込む必要なく確認することができます。更に、情報の整合性がとれているので、「思い違い」「勘違い」が、激減します。

 また、お施主様にとっても、設計者・施工者にとってもBIMによるメリットは大きいと思います。今後のBIMの普及は、時間の問題です。この流れは止まりません。図面や模型の未来は、どうなっていくんでしょうね?・・・・どうせやるななら、BIMを活用して建物を計画をした方が良いのは、コラムを読んでくれた方なら、自明のことですね。

 今回は、以上となります。次回は、以前、BIMソフトメーカーGraphisoft社のオンライン講習会で、講師として私たちのBIMの取り組みについて、お話させて頂きました。その時の動画がありますので、プロ向けではありますが、BIMがどのようなものなのか、ただの図面ではないというのが、垣間見ることが出来ると思います。現在、準備しておりますので、お楽しみに!